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2025年下半期の不動産投資:買い時と堅実な戦略を見極める

2025/9/27

不動産市場予測コラム

市場の分岐点で、投資家はどう動くべきか?

2025年の折り返し、世界各地の不動産市場は鮮明な分化を見せています。
関税、高金利や景気減速といった逆風の中でも、国により違う方向の投資機会チャンスが現れています。

本稿では、米国・中国・日本という三大市場を軸に、それぞれの現状と見通しを整理しながら、投資家が「どこで、どう動くべきか」を判断するための堅実な戦略を探っていきます。まずは、不動産市場の現状をみましょう。

米国市場:一部都市に短期投資の好機であるが、高金利と流動性リスクに要注意

米国では一部都市で価格の下落が進み、“買い時”と言える状況が生まれたが、依然として高金利環境の影響を受け、流動性は低いままです。
2025年7月末時点で、以下の都市で価格が大幅下落:

  • オークランド(カリフォルニア州):-6.8%
  • ウェストパームビーチ(フロリダ州):-4.9%
  • オースティン(テキサス州):-2.9%
  • ヒューストン(テキサス州):-2.8%

(出典:Business Insider) 

サンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジの眺め(カリフォルニア州)

全米50大都市圏の中で、39都市で下落が見られ、月間の下落率は2012年以降で最も大きかったことを示します。短期視点では、南部やテック産業が停滞する都市に投資機会が生まれています。ただし、高金利の影響により不動産取引の流動性はまだ低いので、投資先は地域・産業ともに慎重な選定が必要であり、全米どこでも投資できるわけではなく、有望なエリアに絞ったアプローチが重要です。

中国市場:底打ちの兆しは見えるが、市場の先行きには依然として不透明感が残る

中国の一線都市(北京、上海、広州、深圳)の下落幅が縮小しているが、二三線都市の回復は見えず、投資先としては様子見が続くでしょう。中国国家統計局のデータによると、2025年8月における新築住宅の価格前年同月比:

  • 北京:-3.5%
  • 上海:+5.9%
  • 広州(広東省):-4.3%
  • 深セン(広東省):-1.7%

広州の街並み

8月の下落幅はさらに縮小し、明らかに改善しています。しかし、主要70都市のうち60都市が価格下落を続けており、一線都市(北京、上海、広州、深圳)の中心部は底値に近づきつつあるものの、投資には不向きな状況です。二・三線都市では依然としてリスクが高く、政策支援を待つ必要があります。全体として、中国の不動産市場は「投資」から「住」へと性質を変えていくので、投資先としての魅力は薄れつつあります。

日本市場:堅実な上昇が続き、長期投資の最有力候補に

アメリカや中国と比べて、日本の不動産市場は安定して、上昇を維持しています。
なお、日本は円安とマンション供給不足を追い風に、外資資金の流入が続き、長期投資の安定地として注目されています。
不動産市場の具体的な上昇幅は以下の通りです:

  • 全国平均地価上昇率:+2.7%(4年連続の上昇)
  • 東京:+8~10%
  • 大阪:+8~10%
  • 名古屋:+3~5%
  • 福岡:+9%

(出典:国土交通省)

2024年、東京の新築マンション供給数は前年比 -17%となり、1973年以来の最低水準を記録した。需給バランスの悪化が続くなか、円安基調も追い風となり、国外からの投資資金が引き続き日本市場に流れ込んでいます。新型コロナにおける中国本土の政策により、富裕層の資金は海外市場へ向けるようになり、日本はその最大の受益地となっています。その流れは現在も続き、資金が中国に戻る兆しは見えていません。

東京中心地の眺望

2024年には、東京の商業用不動産取引額が4兆円を突破した。2025年上半期には、投資金額が前年比約31%増加し、取引額は2兆8,700億円に達しました。
(出典:JLLとCBREジャパンのデータ)

長期投資の観点から見ると、「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」と「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や物流倉庫、データセンターといった新興ビジネスは、今後の成長が大いに期待されています。コストは高いが、安定した市場環境と外資の動向を見れば、日本は、資産運用における最適地といえるでしょう。

米利下げと円相場の行方

アメリカのFRB=連邦準備制度理事会は金融政策決定会合を開き、2025年9月17日、政策金利を0.25%引き下げることを発表しました。

FRBは、2022年3月から、インフレ抑制と景気の過熱を防ぐため、利上げを継続してきました。2023年7月で0.25%の利上げ後、インフレ率が安定的な水準に戻ったことから、2024年7月31日からは政策金利を据え置いていました。その後、FRBは経済成長を促し、失業率を改善するため、2024年9月18日に政策金利を0.5%引き下げ、利下げ局面に入りました。11月と12月にも追加の利下げを実施しましたが、2024年12月の記者会見で、パウエル議長は「今後の利下げペース鈍化になり、場合によっては利下げを一時停止する可能性がある。」と述べました。

米連邦準備理事会本部

今回の利下げは米国の雇用情勢の悪化を受け、景気を下支えるための措置です。利下げにより経済成長が期待されています。ただし、利下げを過度に進めれば、インフレを招く可能性があります。資金供給が増えすぎると通貨価値が下がり、物価の上昇につながる可能性があるからです。

また、今回の決定には政治的圧力を受けて、結果が影響されたとの見方もあり、FRBの経済見通しとは異なる内容であるとの批判も出ています。この措置により、株式・債券・ドル市場のリスクを招く可能性があります。これに対して、パウエル議長は、中央銀行の独立性を強調し、「データに基づいて業務を行うことがFRBの文化に深く根付いており、それ以外のことは一切考慮しない」と明言しました。

不動産に関して、記者会見でパウエル議長は:「専門家の分析によると不動産市場に顕著な変化をもたらすには、金利がもっと上げる必要があるので、大きな影響を与えてないと思います。」と述べた。今後2か月間の経済指標の動向が、10月と12月の追加利下げが行われるかどうかを見きわめる大事なデータになります。

日本銀行本庁舎

理論的には、アメリカが利下げすると、米ドル金利の低下により米ドル建て資産の魅力が相対的に低下し、資金が流出しやすいため、ドルの価値が下落すると考えられます。同時に、日米金利差が縮小すると、円キャリートレード(低金利通貨で資金を借り、高金利通貨で運用する手法)の魅力低下につながり、米国から日本に資金が流れる可能性があります。加えて、円は国際市場において「安全通貨」として認識されており、投資家は「アメリカの利下げ=ドル安・円高」と捉えられがちです。

しかし、アメリカが利下げに踏み切ったとしても、日本銀行は国内景気の回復力を慎重に見極める必要があり、利上げの余地は限られています。アメリカの政策金利に対して、日銀は18〜19日開いた金融政策決定会合で、政策金利0.5%で据え置きと決めました。
結果として、日米金利差に大きな変化がなくて、円の上昇は一定の範囲内に収まり、輸出への影響や為替市場の不安定要素も残り続けます。

米連邦準備制度理事会(FRB)が2025年10月と12月に利下げを実施するとの予想が出ていますが、実際に円相場を左右する鍵は、日本が政策金利を1%以上に引き上げる決断を下せるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

米国の利下げがもたらす世界経済への影響や、米・中・日の三大市場における短期・長期の投資アプローチについては、会員限定ブログ記事にて詳しく解説しています。

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