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新築マンションで短期売買が急増 都心6区を中心に市場が“フリップ化”
2025/12/11
スペシャルニュース

近年、新築マンションを「購入して短期間で売却する」いわゆる短期売買(フリップ取引)が、東京や大阪などの大都市圏で目に見えて増えている。短期売買とは、値上がりが期待できる物件を購入し、数か月〜1年ほどで売ることで利益を得ようとする動きだ。
かつては一部の投資家が中心だったこの手法だが、ここ数年で一般の購入者も含めて広がり、都心では市場の一つの特徴としてはっきり現れ始めている。特に東京都心6区では、購入から短期間で売却される新築マンションが大幅に増えており、不動産市場の動きに大きな変化が生じている。
こうした短期売買の増加は、物件価格の高騰、人気エリアの需給バランス、海外投資家の動向など、さまざまな要因が絡み合いながら進んでいるとみられる。本記事では、最新データをもとに、地域別の状況や価格帯ごとの特徴、海外在住者の影響など、短期売買をめぐる実態を詳しく見ていく。
東京・大阪・神奈川・兵庫で短期売買が増加
2024年1〜6月の短期売買割合は、
- 東京都:8.5%
- 神奈川県:5.1%
- 大阪府:6.2%
- 兵庫県:7.1%
といずれも近年の平均値を上回り、特に東京都は2023年(5.2%)から大きく上昇した。
過去5年間(2018〜2022年)の最大値と比較しても、東京都は2021年の7.3%を超え、短期売買がより活発になっている。中心部に近づくほど割合が高まり、都心部では短期売買が取引慣行として定着しつつあるとみられる。
大規模マンションで短期売買が急増
直近の動向として、大規模マンションにおける短期売買が全体の8割強を占めるなど、規模の大きい物件で特に顕著だ。供給戸数が多い物件では流通量が増え転売しやすい点が背景にあると推測される。
またエリア別では、東京23区の短期売買割合は3.5%、都心6区では7.5%と いずれも高い割合となっている。大阪府・京都府でも、府県全体より大阪市・京都市など中核都市で割合が高い傾向が見られた。
最も変動が激しいのは新宿区で、2024年の1.9%から2025年1〜6月には14.6%へと急騰。わずか1年半で約12.9%も上昇するなど、需給の変化が顕著だ。
都心6区の短期売買、2億円未満の中価格帯が中心
都心6区で2023年1月〜2024年6月に短期売買された新築マンションを価格帯別にみると、
- 1億円未満:63.0%(516戸)
- 1〜2億円未満:30.8%(252戸)
- 2億円以上:6.2%(51戸)
と、2億円未満が93.8%を占める。短期売買は富裕層向けの超高額帯ではなく、中価格帯の物件が主流であることが明らかになった。
また、買主の97.4%(748戸)が国内居住者、海外居住者は2.6%(20戸)にとどまり、短期売買市場の中心はあくまで国内の実需・投資家である。
新築マンションの購入動向:海外在住者の取得は緩やかに増加
一方、新築マンションの購入全体に占める海外在住者の割合は0〜3%程度と少数で推移するが、近年は増加傾向にある。
国外からの取得割合は、
2025年1〜6月:
- 東京都3.0%
- 大阪府2.6%
- 京都府2.3%
2024年(東京都1.5%)と比べると東京都で倍増している。
国別の傾向を見ると、コロナ禍以前は中国・香港・台湾が多かったが、近年は台湾の比率が最も高い。また、シンガポールや米国、英国からの取得も一定数見られる。
ただし、2億円以上の高額物件を積極的に短期売買する傾向は確認されていない。
都心6区の購入全体:1億円未満が過半、2億円以上は1割未満
新築マンション購入(2023年1月〜2024年12月)の価格帯構成は以下の通り。
- 1億円未満:56.7%(4,891戸)
- 1〜2億円未満:37.3%(3,218戸)
→ 2億円未満が93.9%(8,109戸)
2億円以上の高額帯は6.1%(523戸)に過ぎない。価格帯別の海外住所割合も、
- 2億円未満:3.2%
- 2億円以上:3.8%
と大きな差はない。
海外在住者の短期売買も増加
東京23区における海外在住者による新築マンション取得件数は、近年約300件前後で安定している一方、短期売買に関しては数・割合ともに増加傾向にある。23区の短期売買割合は利便性の高さから6〜9%前後で推移しており、市場流動性の高さが影響していると考えられる。
まとめ
新築マンションの短期売買は、東京都心を中心に年々存在感を増している。特に大規模物件や1〜2億円未満の中価格帯で顕著であり、国内居住者が主役となって市場を形成している。海外在住者の参入も緩やかに増えているが、高額帯での積極的な短期売買は見られない。
都市部での供給・需要の変化、価格帯ごとの流動性、海外投資家の動向など、今後も新築マンション市場の細かな分析が求められそうだ。
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