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不動産市場はいま「動きながら、選ばれる時代」へ
2026/2/10
不動産市場予測コラム
国土交通省が発表した最新の不動産関連データから、日本の不動産市場が新たな局面に入りつつあることが見えてきた。
取引は全体として回復しているものの、その中身を見ると、都心部とその他の地域、さらに物件の種類によって動きに大きな差が生じている。
まず、企業などが関わる不動産取引では、全国で前の月より4%以上増加した。オフィスや事業用不動産を中心に、取引そのものは確実に動き出している。

しかし、地域別に見ると様子は異なる。
三大都市圏では、戸建住宅や事業用不動産の取引は比較的堅調な一方で、区分マンションは伸び悩んでいる。特に都心部では、価格水準が高止まりしている影響もあり、購入に慎重な動きが目立つ。

これに対して、都市圏以外の地域では、取引量の増加が比較的はっきりしている分野も多い。価格が都心ほど高騰していないことから、実需を中心に動きやすい環境が続いていると考えられる。
私たちの暮らしに身近な中古住宅の売買を見ても、この傾向は共通している。
近畿地方では取引が大きく伸び、大阪府では戸建住宅・マンションともに活発だ。一方、首都圏、とくに東京都では取引は増えているものの、その伸びは比較的緩やかだ。

価格面では、都心部とその他地域の差がさらに明確になっている。
東京都では、住宅全体の価格がやや下落し、特に土地の価格は大きく調整している。これは、都心部で価格が上がりすぎた結果、買い手が慎重になっていることを示している。
一方、大阪府や地方都市では、住宅価格や土地価格が上昇している地域も多い。都心ほどの過熱感がなく、「価格と実態が合っている」地域に需要が向かっている様子がうかがえる。
つまり現在の不動産市場は、
都心部では「高値圏での選別」、
その他の地域では「割安感を背景とした動き」
という二つの流れが同時に進んでいる。

商業用不動産でも違いははっきりしている。
都心部ではオフィスの動きが鈍る一方、地方も含めて物流倉庫や工業用地の需要は高い水準を保っている。ネット通販の拡大や供給体制の見直しにより、倉庫は「場所を選ばず必要とされる不動産」になりつつある。
こうした市場の変化と並行して、制度面でも重要な動きがある。
令和8年4月から、大規模な土地取引を行う法人に対し、代表者や実質的な意思決定に関わる人の国籍などを届け出る制度が始まる。
この制度は、土地を誰が、どのような意図で利用するのかをより明確にすることを目的としている。とくに、都心部や重要な土地については、利用目的の確認がこれまで以上に重視されることになる。
一般生活者にとって直接の手続きはないが、長い目で見れば、不透明な取引や極端な価格変動を抑え、市場の安定につながる可能性がある。
これから住宅購入や住み替えを考える人にとって重要なのは、
「都心か、地方か」という単純な比較ではなく、
「その場所が今後も暮らしやすく、選ばれ続けるかどうか」だ。
人口の動き、交通の利便性、生活インフラ、地域の将来像。
都心であっても、そうでなくても、こうした要素を丁寧に見極めることが、これからの不動産選びと家計を守るうえで欠かせない視点になっていくだろう。
※大規模土地:市街区域:2,000m2以上、その他の都市計画区域:5,000m2以上、都市計画区域外:1ha(10,000m2)以上
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