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住宅ローンについて詳しく知っていますか?第2回

2021/12/21

日本の不動産プチ知識

第2回目となる今回は、「住宅ローン③あなたの借入可能な限度額はいくら?」について書かせていただきます。

(※本来③と④は2回目で一緒に投稿する予定でしたが、思ったよりも長くなってしまったため分けさせていただきます。ご了承ください。)

◆3.あなたの借入可能な限度額はいくら?

あなたが自宅を購入しようと検討を始めたとき、最初に考えることは何でしょうか?

  • 新築か中古か
  • 戸建てかマンションか
  • 沿線、駅、都道府県や町名など、どのエリアで物件を探すか
  • 予算をいくらに設定するか

他にも色々と挙げられるかと思います。

今日は、④の「予算をいくらにするか」を検討するうえで、ご自身の「借入上限額」についてご説明します。

まず、借入上限額を知るための重要なキーワードの一つ、「返済比率」について簡単に解説します。

【3-(1).フラット35の返済比率とは】

例として、架空の人物Aさんがフラット35を使って自宅購入を検討する場合を挙げてみましょう。

【Aさん】

35歳サラリーマン(給与所得者)で年収500万円、3人家族(専業主婦の妻と子供1人)である。

フラット35の窓口となる金融機関でローン審査をする場合、ローン借入金額が適正か否かを判断する場合には返済比率35%(フラット35ご利用条件)を用います。

500万円×35%=175万円(年間)

175万円÷12カ月≒14.5万円(小数点2位以下切り捨て)

この場合、金融機関から見たAさんの返済能力は、「年間175万円」となり、ローン返済月額が約14.5万円以下であれば貸出可能となるわけです。

よって4,850万円を、2021年12月実行金利1.330%(フラット35金利情報)で35年返済の場合、月返済金額は約14.45万円となるため、Aさんの借入可能な金額は約4,850万円となります。

ただし、借入可能金額を計算するうえで、他の金融機関からの借入がある場合には注意が必要です。

例えば、Aさんが車のローンを他の金融機関から借り入れしており、月に2.5万円返済している場合、住宅ローンの上限返済月額は14.5万円-2.5万円=12万円となり、借入可能額は約4,000万円となるのです。

他の金融機関からの借入として一般的には、下記のようなものがあります。

【他の金融機関からの借入でよくある事例】

  • ショッピングローン(ペットも含む)
  • 携帯電話の分割払い
  • 奨学金(返済比率に含まれない場合もございます)
  • 自動車ローン
  • 資産担保ローン(不動産投資など)
  • 無担保ローン(銀行系キャッシング、消費者金融など)
  • クレジットカードのキャッシング枠(借入がなくても、クレジットカードにキャッシング機能が付帯している場合、キャッシング限度額が返済比率に算入される場合がございます)

つまり、もしあなたが自宅の購入を検討されるのであれば、現在どの金融機関からいくら借入しているか、現時点で完済することは可能か、不要なクレジットカードやキャッシング機能はないか、などを確認する必要があるのです。

【フラット35金利情報】

https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top

【フラット35ご利用条件】

https://www.flat35.com/loan/flat35/conditions.html

【3-(2).銀行ローンの返済比率とは】

では次に、銀行ローンにおける返済比率の考え方について簡単にご説明しましょう。

今回も、架空の人物Aさんを例に検討します。

B銀行がAさんに対してローン借入金額を審査する場合、フラット35と違い返済比率35%をAさんの条件によって調整します。

例えば、扶養家族の人数や、勤め先が上場企業もしくは未上場企業かなど、様々な条件が調整項目となるかと思います。(金融機関によって定められている審査ルールのため、一般公開されておりません。すべて想定のうえでの説明とご理解ください。)

仮にAさんの条件が上場企業勤務、扶養家族2人で-5%調整となり返済比率30%で審査されるとした場合、

500万円×30%=150万円(年間)

150万円÷12カ月=12.5万円

B銀行から見たAさんの返済能力は、「年間150万円」となり、ローン返済月額が12.5万円以下であれば貸出可能となるわけです。

次に、いったいいくらを何年間借入れしたら月返済額が12.5万円以下となるかを計算するのですが、その審査金利がまたフラット35とは異なります。

フラット35では実行金利1.330%がそのまま審査金利となっていました。

では、もしAさんが現時点でのB銀行における実行金利で計算された返済比率ギリギリで、B銀行から変動金利型住宅ローンを借り入れた場合はどうなるでしょう。

変動金利の場合、将来の市場動向で金利が変動する可能性があります。

市場金利が上がり返済額が上がってしまうと、Aさんは自身の返済比率も上がり、生活費や子供の教育費など支払えない債務超過に陥り、そのまま債務不履行となってしまうリスクがありますが、それは同時に銀行の債権が回収不可となってしまうリスクを意味します。

つまり、銀行は貸したお金を返してもらえないリスクを負うということです。

ちなみに余談ですが、債務の履行が不可(ローン返済が出来ない状況)となった場合の選択肢として、

  • 抵当権を設定している自宅を売却してローンを一括返済する
  • 自己の財産や、所有する他の資産を売却してローンを一括返済する

が挙げられますが、もし自宅がローン残額を下回ってしまうとその分は自己が所有する他の資産や財産から返済する義務があります。

もしも債務者が自宅を売却してもなおローン返済額に足りず、他に財産や資産がない場合、債権者である銀行は貸付金の一部は貸し倒れとなってしまうため、そのリスクを少しでも排除しようとするのが住宅ローン審査なのです。

(もちろん、消費者である債務者にとってのリスク低減でもありますが。)

話を戻しますと、変動金利型住宅ローンを多く扱う銀行にとって、審査金利に実行金利をそのまま使うのは危険であり、実行金利にある程度上乗せした審査金利を適用することで将来の金利変動に伴うリスクを低減できるのです。

では、B銀行が審査金利を4%に設定していた場合、Aさんの借入可能額はどうなるでしょうか。

2,800万円を4%で35年返済の場合、月返済金額は約12.4万円となりますので、借入金額が約2,800万円以下であればAさんはB銀行から借り入れが可能となりますが、他の金融機関への借入返済などがある場合の借入可能額はそこからさらに減ります。

また、銀行によっては貸出条件の中に『年収要件』などが定められている場合もありますので、注意が必要です。

【3-(3).まとめ】

自宅の購入を検討される際には、まず

  • 新築か中古か
  • 戸建てかマンション
  • 沿線、駅、都道府県や町名など、どのエリアで物件を探すか
  • 予算をいくらに設定するか

を検討し、予算を決める際には必ずご自身の借入可能な上限額と、実際にローンを借り入れた場合の返済比率を把握することが良いでしょう。

なぜならそれが、その物件を購入することが現在の自身のステータスにとってどのような影響を及ぼすのか、将来的なリスクがどの程度あるのかを判断するための重要なポイントになるためです。

また住宅ローンの審査について詳しくは次回に解説しようかと思いますが、他の金融機関からいくら借入があるか、クレジットカード、キャッシング、ショッピングなどの状況を確認し正確に把握するのも、予算設定に大きな影響がありますので、忘れないようにしましょう。

最後に、借入可能な金額はネット上でシミュレーションできるサイトもありますので、各金融機関などで検索されてみてはいかがでしょうか。

【参考. ※1億円の家を買うためには】

GLOCALYが多く扱う東京城南エリアで戸建てを購入する場合、必要となるお金は1億円を下らないでしょう。

では、もしAさんが1億円の物件Cを買うためにはどのような条件が必要かを、簡単にシミュレーションしたいと思います。

またここでは、B銀行の変動金利型住宅ローンをベースに検討します。

【条件】

物件Cの価格:1億円

購入諸費用:600万円

住宅ローンの利用条件:頭金として物件価格の1割と諸費用を頭金として拠出すること

上記条件だと、借入予定金額は9,000万円となります。

審査条件を返済比率30%、審査金利4%、35年返済、車ローン月返済額4.5万円とした場合に9,000万円借入承認を得るためには、どのような条件が必要なのでしょうか。

9,000万円を4%で35年返済だと月返済金額は約39.8万円となり、車ローン月返済額4.5万円を加えると約44.3万円、年間約531.6万円です。

約531.6万円を返済比率30%で収めるためには、収入が約1,772万円必要となります。

つまり、物件CをB銀行の住宅ローンを利用して購入するには、Aさんは現金として1,600万円を用意し、年収1,772万円以上となる必要があります。

(フラット35の場合、利用上限額は8,000万円のためAさんは現金として2,600万円を用意し、年収980万円ほどになれば購入は可能です。)

※上記シミュレーションには、ペアローンなどの収入合算を想定しておりません。

※上記シミュレーションは、あくまで住宅ローンが借入可能かどうかを概算ものであり、融資承認を保証するものではありません。

※ライフプランニング上の将来的なリスクなどについては一切シミュレーションに含めておりません。

以上、第2回目住宅ローンコラムとして簡単にまとめさせていただきましたが、気になることやさらに詳しくお聞きになりたい方がいらっしゃいましたら、お問い合わせフォームよりお問い合わせくださいませ。

第3回目コラムも、乞うご期待ください。

引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

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